09年5月14日
イーストウッドが淡々と、思うがままに綴った映像が愛おしく、
しかもテーマは真正面からの直球勝負という、愛すべき映画が生まれました。
背景は結構シビアなもので、移民、人種差別、いじめ、暴力、
非行、格差社会、価値観の変貌など様々なものを含んでいます。
しかし、ことさらこだわって一つ一つを掘り下げるというよりも、
淡々と日常を描く中、偏屈な老人が何を考え、
どのような行動をとるかを素直に見ていくことで、
人生について、生きる意味について、考えさせてくれます。
主人公は長年、フォードの工場で車を作り続けた元工員。
既に定年を迎え、妻にも先立たれ、一人暮らしをする老人です。
映画が始まってしばらくすると、皆、感じるのではないでしょうか?
フォードの工場で働く前は、サンフランシスコ市警にいたのでは?
そう、ダーティハリーこと、ハリー・キャラハン刑事が老人になると、
きっとこんな人でしょう。と思わせるような人間像なのです。
偏屈で孤独を好むものの、妙に人なつっこかったりして
捉えにくいキャラクターとも言えるでしょう。
しかし、イーストウッドが演じると偏屈さも孤独僻も、
全てが魅力的に見えるのです。
長年、スクリーンを惹きつけてやまないイーストウッドならではの人物造形です。
さて、物語ですが、淡々と描かれていた話が、
気がつけば後戻りできないところまで追い込まれ、
ラストへ向かうこととなります。
リアルに考えれば、この結末は無いのかもしれません。
しかし、この結末だからこそ、人は何のために生きるのか?
生きることの意味を問いかけてくるのだと思います。
勿論、映画ですから、まして主人公がハリー・キャラハンの老いた姿に
見えたなら、納得の結末だったと思うのは私だけではないでしょう。
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