07年8月13日
素晴らしい映画です。
今年観た映画では「ボルベール〈帰郷〉」と並ぶ面白さ。
清々しい気分で映画館を後にしました。
冒頭、アルバート・フィニー演じるヘンリーおじさんが
少年時代の主人公マックスに、ワインについて話をする場面が
ありますが、酒にまつわる名シーンとして忘れられないものになりました。
ワインの奥深さ、素晴らしさを示し、この二人の確かな関係、
プロヴァンスでの暮らし、人生への賛歌にも受け取れました。
また、この映画の行く末を、ぼんやりとですが示しています。
敢えて言えば、展開は予定調和のようですらあり、
誰もが想像するように話は進んでいきます。
ところが、それがまた心地よいのです。
足下をすくわれる不安を抱くことなく
スクリーンへ映されるがままのストーリーに
身を委ねることができます。
この映画の物語には、大きな起伏があるわけではありません。
しかし、魅力的なプロヴァンスの様子、暮らしを見事に捉えている
フィリップ・ル・スールの撮影と、軽快な編集で物語を
リズミカルに展開させる監督、リドリー・スコットの手腕によって
心地よく酔わされる2時間でした。
主人公のマックスは、ロンドンの金融界で
豪腕トレーダーとしてならしているという設定。
実に鼻持ちならない奴で、初めはここまで嫌な奴を主人公にしなくとも
と思ったのですが、物語が進んでいくと確かに
こうした設定の方が、トレーダー・マックスの人生と
プロヴァンスで恋に落ちるマックスの人生を
鮮やかに対比できるのだろうと感じました。
登場する男も女も、特に女性は皆、非常に魅力的で、
複数の魅力的な登場人物たちによって物語が進行することも、
この映画を輝かせている理由の一つでしょう。
日々の暮らしに流されながら、
時間だけは確実に過ぎ去っている日常ですが、
たまには立ち止まってプロヴァンスの暮らしなど
思い描くのも必要かな、なんて思いました。
原題は「A GOOD YEAR」。
素敵なタイトルですね。
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