07年7月17日
「ハリー・ポッター」シリーズの5作目。
最新作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」が、
アメリカとカナダの映画館で一斉に公開され、
初日から5日間の総興収が1億4000万ドル余りと、
「シュレック2」の1億2890万ドルの記録をも破って
歴代新記録を樹立したそうです。
最近、どんどん興行収入の記録が塗り替えられています。
これは世界的に映画館が、複数のスクリーンで上映作品を自由に組める
シネコンに変わってきた為と考えられます。
シネコンは公開して、当たったとなると、
上映プログラムを変え、どんどんスクリーン数を増やし、
沢山の観客に対応することができます。
従来はいきなり上映館数を増やすことが、
映画館の都合からもできませんでした。
ですから、最近はヒット作を見に行っても、映画館に入れない
ということが、殆ど無い筈です。
大ヒットしている筈なのに、それ程の混雑もなく見られるというのは、
スクリーン数を、増やしているからです。
昔は思わぬヒット作が生まれても、上映館を拡大できず、
観客を取りこぼしていた映画がありました。
シネコンの良いところは他にも沢山見つかります。
ゆったりしたシートや足元。傾斜した館内は、
前の人の頭も気にならない設計になっています。
施設も綺麗で、トイレの匂いが漂ってきたなどという
昔の映画館のイメージは払拭しています。
一方、経営する側も、ヒット作を中心に効率的に上映が出来る上、
施設の構造は、少ない人数で運営できるようなになっているため、
人件費を減らすこともできます。
ただ、上映される映画を見ると、
勝ち組の映画は、スクリーン数がどんどん増えますが、
負け組の映画は一日一回の上映になってしまったり、
見られる時間も限られます。
最近、目立つ映画というと、
ハリウッドのシリーズものばかりになってしまいました。
今、上映している映画だけでも「シュレック3」「ダイ・ハード4.0」
「パイレーツ・オブ・カリビアン3」「スパイダーマン3」
そして「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」が始まります。
すごく偏った映画ばかりが、幅をきかせるようになりました。
一握りの映画が、ものすごく観客を動員しています。
かつての日本では、フランス映画を代表とする
数多くのヨーロッパ映画も上映されていました。
インディペンデント(独立系)の映画は苦しくなるばかりです。
映画館が、シネコンという魅力的な仕組みに姿を変えたことは、
決して悪いとは思いません。
観客の多くは、快適な施設を楽しんでいると思います。
しかし、どこのシネコンも数少ない作品で埋め尽くされている現状は、
スクリーン数が増えたにもかかわらず、
多様な作品を受け入れない環境ともなっています。
観客も経営する側もメリットを感じる仕組みにしたことが、
映画の内容、質にまで影響を与えていることは、
これからの課題と言えるでしょう。