０７年７月３日
怪作です。
サシャ・バロン・コーエン扮する主人公ボラットは、
カザフスタン国営テレビの看板レポーターという設定。
そのボラットが、カザフスタンの発展のためにアメリカの文化を学び、
カザフスタン国民へ向けてレポートすると称して、
アメリカ市民に突撃取材を敢行、各地で大騒動を巻き起こしていく
様子をゲリラスタイルの撮影でフィルムに収めるという、
どこまでがフィクションで、どこまでがリアルな様子なのか、
その境目も判らない、一種暴力的ですらある映画です。
主人公ポラットは、悪意のない？偏見、素朴な疑問、
時にむき出しの欲望を、撒き散らしアメリカを横断し続けます。
ユダヤに対し、カザフスタンに対し、差別的な言葉、行動を
執拗に繰り返しますが、その裏返しにアメリカ社会の矛盾、
残酷さ、未熟さが徹底的にあぶり出されていく演出は、見事の一言。
本音のアメリカ社会って、こういうものでは？
本音と建て前が、まだまだこんなに違うのでは？
偉そうにしてるんじゃないよ。
という制作者の叫びと嘲笑が痛烈です。
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