07年5月23日
六本木の東京ミッドタウン、丸の内の新丸ビル、
10月末に完成するJR東京駅八重洲口の再開発プロジェクト。
東京の再開発は休むことなく続いています。
私の事務所は千代田線乃木坂駅が最寄りなのですが、
住所でいうと赤坂9丁目。東京ミッドタウンと同じです。
東京ミッドタウンは、多くの人が六本木と思っているところに
建っているのですが、実は住所は赤坂なのですね。
乃木坂も、そのような住所はなく、
周辺は赤坂か六本木になります。
さて、そんなことで、日々東京ミッドタウンの賑わいを
眺めているのですが、この状況はきっとどこの開発でも
似たり寄ったりだろうと思っています。
まず、オープンと同時に猛烈な人手。凄い賑わいです。
東京ミッドタウンばかりでなく、周辺の店舗も行列、行列、行列です。
大きなスーパーマーケットができると、
周辺の商店に閑古鳥が鳴くかと思えばそうとは言えず、
隣の小さな八百屋さんが大賑わいになったりするの、
皆さんも目にしたことがあると思います。
一見すると、全く同じようにミッドタウン効果で周辺の飲食店にも
人が溢れんばかりとなりました。
しかし、東京ミッドタウンがオープンして2ヶ月近く。
人手が引いていくのが判ります。
何故、スーパーの隣の八百屋さんの場合、
賑わいは絶えないのに乃木坂周辺の賑わいは引いてきたか。
ミッドタウンの賑わいは引いてきたか。
それは客層の問題だと思います。
スーパーと八百屋さん、どちらも日常の食材を求めている
人たちがお客様でしょう。
いくら大型スーパーと言えども、揃えきれない品揃えはあります。
その辺りを研究して品揃えをするから、
例え隣でも客足が絶えないワケです。
駐車場完備ですからスーパーの商圏は商店街より
広くなります。広範囲から顧客を集めてくれて、
ちょっと隣でリンゴが安かったから買っていこう!
となるのは皆さんご存じの通りです。
今週だって、来週だって、基本的には同じ状況が続きます。
ところが東京ミッドタウンでは、そうとは言えません。
オープンからの賑わいの中心は高齢者なのです。
高齢の女性グループ、定年後の夫婦が
大挙して押し寄せてきました。
退職金も貰い、破綻していても破綻を認めない国のお陰で
年金も貰い続け、時間もお金も一番ある人たちです。
この方たちは、時間がありますから、入りたいと思った飲食店には
いくら並んでも入りますし、せっかくですからと若干のお買い物もします。
しかし基本的には観光客であり、リピートする人たちではありません。
その上、ミッドタウンの店舗が想定している客層は
働き盛りの男女でしょうから、品揃えが違います。
ですから、飲食店でお金は落としても、
ショップで大きな買い物はしていないと思います。
目的は話題のスポットに出かけることですから、
一度行けば十分でしょう。
店舗からすれば閑古鳥が一番の恐怖でしょうから
最初は賑わいを喜ぶでしょう。
しかし、リピートする人たちではないし、
本来、固定客にしたい層の人たちは、騒然とした賑わい、
雰囲気など吹っ飛ぶような賑わいに足が遠のいている筈です。
店から見れば、ターゲットにしている顧客に
実はアピールできていない2ヶ月となっている可能性が高いのです。
勝負することができず時間だけが経過し、
店づくりの良し悪しも判断できないですから、
修正を効かすことも、できないでいるのではないでしょうか。
店の雰囲気を壊された上、勝負が出来なかった。
そんな思いの店長もいることと思います。
居住棟もあり、大型のオフィスビルを抱えるミッドタウンですから
昼間人口は、どっと増え、重なる客層を持つ六本木ヒルズとの
相乗効果で地域全体が浮上する条件は揃っています。
そうした効果を生かせるか否かは今からの勝負と
なってしまったのではないでしょうか。
他にもコラムにはテーマ別に色々な記事が掲載されています。是非、ご覧下さい。