07年2月7日
アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー・妻による
「富の未来 上・下巻」は、かなり読み応えのある本です。
手強い相手ではありますが、社会の変化に対して重要な指摘をしていて
現在そして未来の位置づけを考える上では欠かせない本とも言えます。
特集で「マスコミの力は減少の方向へ。ミニコミの力は増加方向へ。」と
書きましたが、まさにそうした変化を分析しているのがこの本です。
産業革命にも匹敵する変化が今、世界に訪れている。
それをこの本では明らかにしています。
印象的な部分を一部引用しましょう。
「日本は、長年にわたって国内の均質性を誇ってきた。
この均質性によって、大量生産、大衆消費市場、
マス・メディアに基づく経済の必要に適した大衆社会が発達した。
~しかし、明日の先進的な経済では「非マス化」が進んでいく。
多様化が進み、大衆ではなく、個人に焦点をあてるようになる。
そして、社会の高齢化がさらに進む。」
「新しい富の体制はめったに登場しないし、
登場するときには単独ではあらわれない。
それぞれの富の体制には新しい生活様式、
いいかえれば新しい文明が付随する。
企業組織が変わるだけではない。
家族制度、音楽と美術、食料、ファッション、人の美しさの基準、
価値観、宗教観、個人の自由についての考え方も変わる。
これらすべてが新しい富の体制と関係しあい、それを形成していく。」
「いまでは多数の国が、工業に基づく富の体制と文明から
知識に基づく富の体制と文明へと移行しはじめているが、
新たな富の体制にはそれに対応する生活様式が
不可欠であることを認識していない。」
さまざまな組織で今、不祥事が噴出しています。
企業のみならず、行政機関、教育機関などあらゆる分野を覆います。
その原因も、集約すれば新しい体制に順応しきれない故の
組織の崩壊とも、この本を読み進むと考えられます。