０７年２月８日
大ヒットした香港映画「インファナル・アフェア」を
マーティン・スコセッシがリメイクした犯罪サスペンスです。
この映画を観て改めて「インファナル・アフェア」の魅力も
再認識した気がします。
リメイクではありましたが全く違う映画でした。
脚本は非常に整理され、秩序だって展開していきます。
今どきのハリウッド流？で突っ走っている感じでしょうか。
ギャング映画でありながら往年のハリウッド映画を思い起こさせる
洒落たカメラワークも随所に見られ、
スコセッシ監督ならではの技巧が光ります。
「タクシー・ドライバー」以来のファンですが、
素晴らしい作品を積み重ね映画界の頂点に立ったスコセッシ監督に、
あんな荒っぽいけど繊細なタッチを求めても、
それは違うというものでしょう。
ザ・バンドの解散コンサートを記録した「ラスト・ワルツ」を撮るなど、
ロックへの思い入れの深さは、誰もが知るところですが、
この映画の音楽も見所聞き所いっぱいです。
（ローリング・ストーンズの全米ツアーを記録した映画も製作中とか）
ところで改めて「インファナル・アフェア」の魅力を考えてみると、
勿論、着想、監督、俳優、全てが噛み合って素晴らしい作品になったと
思うのですが、アジア的な、アメリカやヨーロッパでは感じられない
猥雑さがドラマの舞台にも人にも溢れていたことも、
魅力を増している要素だと感じました。
バンコク、ホーチミン、広州、どの空港に降り立ったときも、
まったりとした空気、匂い、騒音、全てが、よくまぁこんなところに来たネ！
って出迎えてくれます。街を歩くと秩序なき活気が心地よく、
緊張と安堵が混在します。そんなアジア的風土を全開にした香港を背景に、
濃密な人間関係を繰り広げながら疾走する
「インファナル・アフェア」。リメイクした「ディパーテッド」に共通する魅力は、
ほとんど感じられません。
それでありながら、ぐいぐいと観客を引っ張っていきますから、
さすがスコセッシとも言えるでしょう。
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