夏休み期間中、東京の東急東横線では「ウルトラマン☆トレイン」なるものを運行しています。車体にはウルトラマン歴代ヒーローのイラストが描かれ、車内の広告は全てウルトラマンシリーズ名場面集などに統一されています。
ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念映画と東急電鉄の親子に向けた夏休み企画が合体したわけですが、こうなると電車も大きなメディアになります。映画のための広告予算をどのように振り分けるか考えたとき、タイアップによるキャンペーンが、ニュースとして取り上げられる可能性も含め、影響が大きいと考えたのでしょう。これも、マスメディアだけに頼らない広告のあり方を示していると思います。
今年一月、大いに目立ったのが、ギタリスト布袋寅泰(43)とヒップホップグループ「RIP SLYME」のコラボレーション曲「BATTLE FUNKASTIC」です。これはトヨタ自動車の新車「bB」のプロモーションでした。
聞くところによると、「bB」のターゲットとする20代男性にリサーチすると「若い人たちにとってクルマは、街中でのチョイ乗りが中心で、中で音楽を聴いたり、友達や恋人との時間を楽しむ空間」、そしてこの層は、テレビをあまり見ないことが判ったと言います。
そのため、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体を利用した従来の広告展開では、なかなか効果が無い、情報を得ているのはインターネットと口コミ情報、そこを利用しようとということになったそうです。
トヨタ自動車の新車「bB」のプロモーションは、若者がテレビをかろうじて見る深夜帯に5秒間のディザーCM(徐々に内容を明かしていく広告)を流し、Webサイトに誘導するというものでした。
テレビは興味を持つきっかけ、次にインターネットで検索してもらい、Webサイトで詳細な情報を知ってもらうという流れを作ったといいます。
これらの動きを見て思うのは、今後の広告の姿です。媒体一つ一つの力は、今以上に強くなることはないでしょう。テレビを見なくなった若者たちは、いずれ中年になり、壮年になります。また、今現在の中年、壮年の人びとのテレビ離れも進んでいることと思います。尖っている中年オヤジほど、テレビは見ていません。ナンテ言ったってテレビ見ている暇が彼らにはありませんから。
しかし、情報感度が下がっているのではないでしょう。さまざまなところから情報を仕入れているし、仕入れようとします。そのどこに情報を流し、きっかけを作るかがポイントになります。
今までは予算と商品、消費者ターゲットに応じてテレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体に情報を振り分ければ良かった。しかし、いまからはプロモーションそのものの話題性、消費者への綿密なきっかけ作り、媒体に出せば良いのではなく、媒体も選択のひとつ。消費者が購入に至るまでのストーリーをいかに描けるかが大切になります。
確かに今、ご紹介した動きは、やはり大企業ならではの大規模なモノです。しかし、お金をかければ・・・という時代は終わりつつあります。お金をかけても失敗することもあれば、お金はかけなかったけど、大きな話題づくりができた!ということも起きる時代になってきました。お金の前にアイデアが先行する時代、これこそ中小企業にもチャンスが出てきた!と見て良いのではないでしょうか。
他にもコラムにはテーマ別に色々な記事が掲載されています。是非、ご覧下さい。
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