写真美術館というのは珍しいですね。
はじめて訪ねたのですが、写真を中心にした(一部は動画映像なども)
展示を拝見したのもはじめてだったと思います。
展示はオーストラリアの新進気鋭アーティスト、
デスティニー・ディーコン展。
どんな展覧会かは美術館のホームページから
一部引用させていただいてご紹介しましょう。
「ディーコンは、オーストラリアを代表する
インディジネス・アーティスト(先住民出身作家)で、
現代社会に対する鋭い視点に裏付けされた表現は、
オーストラリアやアジアのみならず、2002年のドクメンタ
(5年に一度、ドイツのカッセルで行われる現代美術の祭典)や、
美術雑誌特集記事などに取りあげられるなど、
欧米各国でも注目されている作家です。
ディーコンの創作活動は、テレビ、 新聞、インターネット、
DVD、ビデオ、書籍など、日常的なメディアを通じて
展開されています。彼女は、「クーリ・キッチュ」(クーリ族のキッチュ)
と呼ばれるキッチンクロス、人形、その他の観光土産品など、
先住民に対する白豪主義的な見方が表れた
消費者市場向け商品をモチーフとしています。
対象に隠されている歴史や現実の歪みを、拡大・縮小したり、
静と動を配することで、一般的な見方を破壊し、
部分から全体への考察を促しているのです。
ディーコンの作品は、人間のアイデンティティに対する
解釈に内在する、哀感、ユーモア、悲劇を表しています。
視覚的にアピールし魅了するのはもちろんですが、
一方で、オーストラリアの都市部で生活する先住民が
直面する社会的問題という、深刻な側面を浮き彫りにしているのです。」
正直なところ、背景が理解できていないので
何が表現されているのか、判りませんでした。
それよりも、芸術ってナンだろう。作品ってナンだろう。
そんなことを色々と考えさせられました。
ディーコンの写真は意図的にピントをはずしているモノが
多いんですね。
ピントのずれたスナップ写真のような作品が多いのです。
でも、素人のピンぼけ写真とは、もちろん一線を画しています。
どこが?
全て、偶然までもが意図されているところでしょうか。
下手なようにワザと撮ってるんですね。
そんな写真が何枚か組み合わされたり
一枚で独立している場合もあるのですが
並べられていることで、何かを訴えているのは確かなのです。
何を訴えているのかは判らないのですが・・・
被写体にきつい色を多く使っているのも特徴的で
何枚も何枚も見ていくと、そんな色たちが心に蓄積します。
画質の悪い携帯電話のカメラでも、
意図をもって撮ることだけで、
スナップ写真と一線を画す写真が撮れるのだろうか?
写真は、誰にでも一番身近なものだと思います。
でも、こうして改まって写真家の作品を見ることは、
考えてみれば少ないと思います。
こんな機会を与えてくれる、
写真に特化した美術館があること。とても素敵なことだと思います。
他にもコラムにはテーマ別に色々な記事が掲載されています。是非、ご覧下さい。
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